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独立してから1年くらい経った
2022年の3月くらいにSTORESを退職して自営業に転じたわけだが、そこからだいたい1年以上経った。 1ヶ月だけフリーランスをやった後、Streetsを創業して取締役に就任して退任、現在はK Squadを専業としている。
1年間を振り返ってみると本当に色んなことがあり、長かったようで短かったような、なんとも言えない思いがある。 本当に濃い1年間だった。
K Squadも最初は1人で始めた会社だったが、気がついたら仲間も増えて7, 8人くらいのチームとなった。 大学の先輩や同期、後輩、これ以外にも飛び込みDMで来たやつ、紹介、ヘッドハンティングなど、色んな経緯で今のチームはできている。 奇しくも全員京大出身エンジニアという類は友を呼ぶ状態なのだが、一人一人を見てみると本当に個性豊かで得意分野も異なり、チームを組んで仕事をしてみると案外役割がダブること無く上手にワークしている。
K Squadのメンバーは今のところ全員自立して仕事ができる人間であり、互いに信頼関係があることから仕事を任せまくっていて、特にマネジメントらしいことはしていないが仕事は回っている。 いわゆるティール組織っぽい感じになっているなと思う。
仕事内容についても設立1年未満の零細企業とは思えないくらい大きなクライアントを複数抱えている。 設立当初は中小企業のクライアントをたくさん抱えていく方針を考えていたのだが、気がついたら顧客のほとんどが大企業となっている。 これについては少々誤算だった。 ただ、結果的に大きな仕事をさせてもらっているし様々な案件を任せてもらっていて、まだまだ大きなプロジェクトが複数動いており、人員ももっと必要なので今後は(仕事のクオリティを落とすことなく)組織を拡大させていきたい。
会社の今後のことについてはよく考えているが、今回一応節目っぽいタイミングなのでこのエントリーでは過去1年間を振り返って得られた学びを簡単にまとめておこうと思う。
学び
口約束は存在しないものだと思っておく
「そのうちメリットの大きい提案してあげるから!」「有力な大企業の担当者に繋げるから!」と言って実質的に何もしてくれない人間というは結構いる。 実際、過去を振り返ってみて「〇〇社の人紹介してあげるよ〜」と言って結果的に何もしてくれない人や、「御社の営業支援になるので協力お願いします!」と言って無償で手伝ったものの何も手応え無しだったり、そういう人間は結構いる。
このビジネスの世界というのは性善説で生きていると本当に痛い目を見る。 性根が腐ったクソ野郎だらけのこの世界では、実利的なメリットが無い提案は基本的に無視した方がいい。 正直者が馬鹿を見るというのはまさにこういうことなんだとこの1年で少なくとも5回はあった。 中には金を払うと言いながら一生払わず、最終的にこっち側が100万単位で損をするという事案もあった。
取引をする際はまず最初にNDAを結んでから要件をヒアリングをし、その上で提案をして成約に至ったら契約書を巻く。 こういう正しいプロセスを経て初めて取引というのは行われる。
ただ実際問題、全ての案件をいちいち契約書を巻いてる暇はないというのはあると思う。 それでも個人的には契約書をちゃんと巻いてくれる人間以外は関わっちゃいけないと考えている。 契約書を巻く余裕がないからこそ、契約書は巻いた方がいい。 契約書というのはやばい状況にこそ有用だったりする。
口約束だけで仕事を進めようとするヤツはさっさと関係を切った方が良い。
顧客の言うことは2割くらい疑った方が良い
いざ仕事を進めるにあたって、状況理解のために顧客に色々説明してもらうということはよくある話だが、ここの注意点として顧客の言っていることが必ずしも全て正しいとは限らない。 自分のほくろの位置を全部覚えていないように、顧客も自社のことを完全に把握できているわけではない。
仕事を進める上で的確な進め方は、客観的な材料からロジックをもとにストーリー形成をし、顧客の言葉を検証していくこと。 話を聞いていて冷静に考えると顧客の言葉と状況が矛盾しているのはよくある。 場合によっては顧客自身よくわかっていない部分を推測でテキトーに喋っていたりする。
言われたことを鵜呑みにせず頭を使って咀嚼していくことが本当に重要。
心が貧乏な人間とは関わってはいけない
世の中、本当にどうしようもなく性根が貧乏な人間がいる。 これでもかと値切ってくる。
基本的に貧乏人を相手していると本当に疲弊する。
過去にあった案件として、Webサイトを作って欲しいと言われ、数十万円の見積もりを出したところ「3万円でやれ」と言われたことがある。 曰く、「既存サイトはホームページビルダーのようなものを使っており、これを使えば15分程度の作業で簡単に終わる。だからWebサイト制作にそこまで金を払う気はない」とのこと。 その案件については丁重に断りして連絡先をブロックした。
貧乏人は往々にして安い支払いで多大な要求をしてくる。 一応これを捌いて儲けるという手段もあるが、これをするとメンバーが疲弊する。 K SquadみたいなITコンサルをやっている人間はこういう商売は絶対にやってはいけない。
ここで注意点なのは、我々が注意しなければいけないのは実際にお金を持っているかどうかではなく性根が貧乏であるかどうか。 お金は持っていないけどゆとりのある精神を持っている人は一定数いる。 そしてそういう人はだいたい出世する。
値切ってくる人間には要注意しよう。
マジメに生きていれば将来いつかプラスになる
つい最近の出来事で、変なタイミングでK Squadに問い合わせをしてきてくれたお客さんがいた。 ここでいう変なタイミングとは、K Squadに問い合わせが入るタイミングというのは自分が登壇をしたりメディアに出たりしたときが普通で、それ以外のタイミングではあまり問い合わせは来ない。
結果的にこのお客さんはかなり良い取引をさせてもらっているのだが、先日どういう経緯でK Squadに辿り着いたのか聞いたところ「小南が過去に強化学習の本を配っていたタイミングで知って、ふと思い出して声をかけさせてもらった」とのこと。
自分は大学時代にスイスに留学をしていて、そこで奨学金をもらっていたのだが、この奨学金の給付がスイスに到着してから1ヶ月後であり現地での最初1ヶ月の生活費と航空券代は自費で用意しなければいけなかった。 当時は貧乏学生だったので当然そんな出費に耐えられず、自分で捻出する必要があった。 その当時では日立製作所で学生研究員をしていて強化学習に関する研究開発を行なっていたのだが、まだ強化学習について体系的にまとまった本が存在していなかったので自分が執筆して売ることにし、結果的に30万円ほど売り上げてスイス留学をやり切ったというエピソードがある。
その時代の読者の一人がまさかの今の取引先で、過去の自分が一生懸命に生きていた結果こうして新たな仕事につながっている。 誰が見ているかわからないからこそ、常日頃からアウトプットをしつつ真面目に仕事をしておくもんだと思う。
終わりに
改めて過去1年は事件もありつつ成長してきている。 事業家としてまだまだヒヨコであるが、これからもっと顧客にバリューを提供していき、更に成長できているように精進していきたい。